ブランキー インタビュー

浅井健一のことばの地下倉庫に潜入

ー 最初から、自分の思うように詞が書けましたか?

浅井 うん。だって詞っていうのは、自分の思っていたとおり、自分の言葉で書くのがいちばん素晴らしいと思うんだが。高村光太郎の詩とか、なんか難しい言葉が多くて全然わからないんだわ。なんにも伝わってこないんだわ。それで詞には法則も何もないんだって思って。実際そっちの方が絶対強いし。だから俺は、最初から自由に書いてる。

ー 好きな詩人とかいますか?影響を受けた人とか。

浅井 影響を受けた人はおらんけど、ジム・キャロルは好き。

ー ジャック・ケルアックは?

浅井 好きだよ。路上読んだ?

ー はい。浅井さんの書く詞と共通する部分があるような。

浅井 ああ。同じような感覚はあるのかもしれん。

ー あと、浅井さんの詞っていうのは映画的だと思うんですけど、映画はよく観たりするんですか?

浅井 映画は好きだよ。でも、だからって映画的な詞を書こうなんて考えてない。もちろん、映像は浮かぶよ、想像としてはね。でも俺は、ただゴキゲンでカッコイイ詞を作りたいだけだから。それで一生懸命がんばってる。

ー 日本のロックによくある詞とは、かなり違いますよね。

浅井 どんなふうに違うの? 

ー もっと生活感メインの詞が多いんじゃないですか?

浅井 そういうの、カッコイイと思う?俺全然カッコイイと思わん。俺は自分でカッコイイと思うことをやっとるで。

ー ちなみに好きな映画っていうのは?

浅井 「真夜中のカウボーイ」「俺たちに明日はない」「明日に向かって撃て!」「ディア・ハンター」「タクシードライバー」「ストリート・オブ・ファイアー」「パーマネント・バケーション」、、いっぱいあるよ。

ー 男の人のほうがロマンティストだと思いますか?

浅井 男も女も同じだと思う。俺もそういう部分はあるよ。っていうか俺は自分のことをゴキゲンだと思っとる。性格がカッコイイヤツだと思っとる。俺はカッコヨク生きたいの。だからインチキはしたくない。マジメなんだ考え方が。

ー ラブソングはどういうときに出来ますか?

浅井 ラブソングを歌うっていうのは自然なことだからね。自然と愛について歌いたくなるんじゃないの?人間は。

ー 自分を元気づけるために詞を書いたことはありますか?

浅井 ない。他人に対しても、ない。友達だったら励ますけど、人を励まそうなんて全然思わん。例えば凄くいい映画を見た時って感動するじゃん。別に励ましの場面とかがあるわけじゃなくても、いい映画って見てるだけでパワーが湧いてくるもんだって。だから俺らも、そういう素晴らしいカッコイイものをやりたいって思う。

ー 応援歌を作りました、みたいに言ってる人もいますが。

浅井 俺はそういうのって、なんかヘンだと思う。違うと思う。俺、媚びてる部分が見えとる歌って大キライ

ー レコ倫をどう思いますか。一部引っ掛かりましたけど。

浅井 アホくさいと思う。俺に権力があれば何も言わせんけど。

ー 自主規制という方法もありますが。

浅井 するわけないじゃん。なんでそうする必要がある?そんなことしたら人間ダメになっちゃうって。自分の感覚よりもレコ倫のほうが正しいってことになるじゃん。それって危険だよ。自分を見失うようなことは絶対しないよ、俺。

1991年インタビュー

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です