ブランキー インタビュー

中村達也、SEX PISTOLSを語る

中村 現在は、、今現在よく聴いてる人は誰かなあ、、んーと、、ないな。

ー(笑)じゃ昔聴いてた人。

中村 昔聴いてたのは、、ほぼピストルズをずーっと聴いてたんじゃん。


ーじゃ、ピストルズ。

中村 ん?じゃあピストルズでいいよ(笑)いいけど、、もう何とも思わんもんな、今は。なんかねえ、聴く機会が無いっちゅーかねえ、自分から聴かなくなっちゃった。

ー聴く気が起こらないの?

中村 そう、、だね。その頃のコトとか好きじゃ無い、たぶん。

ーその頃の自分が好きじゃない?

中村 んーっ、かなあ?

ーなぜ好きじゃないの?

中村 ハッキリ断言できんけど、、別に、、好きか嫌いか、、”いま”しかないな、俺はもう。

ー過去はどうでもいいと。

中村 うん、今好きなのは、ストレイ・キャッツとかイアン・デューリーとかロバート・ゴードン、、かな。

ー(笑)全然新しくない

中村 うん、新しくないよ。ただその昔、ピストルズとかストラングラーズとかダムドとかシャム69とか、いっぱい好きだった頃は好きにならんかったものが、その時代が終わって好きになってきた、て感じ。今そんなガムシャラに、、たぶん、俺にとってはピストルズとか、、一番、なんだ、”反社会的”っていうのかな、自分の存在にぴったりだった。(笑)っていうか、そういうものに共鳴する能力をもっとんのが、俺。

ー反社会的なモノに共鳴する能力?

中村 能力があるんだもん(笑)怒っとったり、悲しかったりとか、バカヤローとか言って不満だらけの人たちに共鳴する能力があるらしいな、どうやら。それはドラム叩いとって思ったもん、こないだ。セッションとかしとると、みんななんかさあ、楽しそうにやっとんじゃん?楽しそうにしかできない人ばかりじゃん?それは別に否定しないけどお、じゃなくて俺はもっとパンクな奴らとかとセッションしたりとか、それが出来る。

ーパンクは楽しみじゃないと。

中村 んー、、俺にとってはヒネた、スネた子供の音楽。とにかくどうしようもない、抑えつけられるとああなるんじゃないかな。”ヒ、ヒーン”て。「そんなこと忘れて楽しくやろうぜ」「みんなで楽しくやろうぜ」じゃないな、俺にとっては。

ー昔はそういう音楽が良かったと。

中村 ”良かった”と、ずっと思ってた。今は、、そんな、、そんな気持ちに戻れない、、あのー、なんでかなあ、、ニューヨーク・ドールズとか聴くんだよね、こないだ買って。でもセックス・ピストルズはそういう気にならん。たまに、というか自分から見ようとは思わないけど、ビデオとかみると「おお」とか「やっぱこれしかないんだよ、オーゲー」とか思うんだけど、(笑)どうもあの時代のパンクの、、好きだけど、思い入れが深すぎるから今聴いちゃうと、、来てるじゃん、、色々、再結成して。だからイヤなん。


ー聴くことによって当時の自分に戻っちゃうような気がしてイヤなわけ?

中村 うーん、、聴くと、やっぱりね、破滅的な衝動が駆り立てられるっていうかね。、、自分にとっては悪いことじゃないけど、「なんでそんなことすんの」って言われて「理由なんてないのさ、ヒヒッ」とか言って済まされんかったので、いろいろ。

ーじゃ、周りのことを考えるようになったってこと?

中村 エライでしょ?エライでしょ?

ー(笑)それでいいと思ってるわけ?

中村 え?(笑)それは別にオレが我慢することだからエエがね(笑)

ー(笑)そりゃあそうだ。

中村 残された道はステージしかないもん。

ーステージでそういう感情を爆発させる。

中村 うん。あのう、今ですねえ、、えーと「なんだよアイツしょうがねえなあ」と思われるより、音楽とか、今やってることを武器にしてノシ上がっていこうと思うんだね。ノシ上がるというか、変えようと思っとんだわ、全部を。もうそれしかないんだわ、今考えとること。パンクもヘッタクレも別にどうでもいい、俺たちがパンクとかじゃなくて、パンクが出てきて「オー!?」とか思った人たちに、なる。そうすることによってだな、もっと出てくると思う俺たちみたいのが。

ー自分たちがセックス・ピストルズみたいな存在になればいいということ?

中村 そうそう。そう思う。要はソレを、壊すより作るのよ。、、うん、変えることだな。それが、俺が若い頃に自分でやろうとして出来なかったことっていうか、セックス・ピストルズに全てを託して、代弁者にして、だからなんだ?ってことだったから、俺たちが代弁者になるんじゃなくて、俺たちが壊して作って、んで目を覚まさせる。

ーで、自分の作ったもんを若いヤツらがまた壊していけばいいって感じ?

中村 そうね。

ー自分たちがやってきたみたいね。

中村 うん、、でもよく考えると、別にそんなことしても意味ねえな、とか思うけどなあ。でも要はアレよ、人生を賭けとる。人生を賭けられれば、意味は無くないよ。生まれてきた理由?理由っつったら、これをやるために生まれてきたんだぜ」って言えるよ、命賭けて、俺は。、、かな?、、かな?なんつって(笑)

1991年インタビュー

 

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