ブランキー インタビュー

浅井健一 ✖ ティム・バートン スペシャル対談

ティム (ベンジーがプレゼントした彼の絵本「TED TEX」などを見ながら)
ビューティフル!あなたはロックだけでなく、いろんなアートに携わっているんだね。

浅井 うん、これは絵と物語を自分で書いたんだ。

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ティム 素晴らしいと思う。
僕は自分と異なったジャンルの表現活動を行っている人に出会うのが大好きなんだ。
あなたは音楽、絵、作家としての活動など、多彩な分野で才能を発揮している。
そんな人にファンだと言ってもらえるなんで、今日はとてもハッピーだよ。

浅井 本当に?ありがとう。うれしいです。
俺が最初に観たあなたの映画は【シザーハンズ】。あれは街並みに惹かれました。


ティム なるほど。僕の映画にとってビジュアルはとても重要なものだから、
風景も登場人物の一部のように考えているんだよ。

浅井 街並みだけでも”これがティム・バートンだ”ってわかる個性や感情が出ているもんね。
だけど今、一番好きなのは【ビッグ・フィッシュ】

 


ティム そう言ってくれて嬉しいよ。
あれは僕にとっても、とりわけスペシャルな映画だから。

浅井 やっぱりそうなんだ。あれはツアー中のバスの中で観たんだけど、すごい感動した。

ティム ぼくは飛行機の中で観る映画にはどれも泣いてしまうんだけど、そういう移動中は普段よりも感情的になってるからじゃないかな?(笑)

 

浅井 そんなことないよ(笑)!あの映画がすごいんだって。
ウチの娘なんかは【チャーリーとチョコレート工場】とかが大好きなんだけど、
【ビッグ・フィッシュ】は大人にしかわからないと思う。
人間として大切なことを描いてるっていうか。

ティム 確かに【ビッグ・フィッシュ】は”大人である”ってことが、とても重要なファクターなんだ。あのエドワードとウィルという父子の関係には、僕と自分の父親との関係も投影している。そして今は、僕自身も子供の父親であるし。

浅井 そうだね。まさに俺も今は父親だから、あなたと同じような気持ちで観れたのかもしれない。

ティム もともと僕はウォルト・ディズニーピクチャーズのアニメーターから仕事をはじめた人間なので、基本的にはキッズ・ムービーの作り手というイメージがあるんだろうけど。
でも子供っぽい映画でありながら、あんまり子供むけらしくないものばかり作るという、変な評判が立っているんだ(笑)

浅井 ディズニーは子供のころ、大好きだったよ

ティム ロックスターでもそうなのかい?(笑)

浅井 うん、同じ、同じ(笑)ああいう世界は大好きなんだ。ディズニー以外でも、(MGM制作の)【トムとジェリー】とか【ドルーピー】なんか、子供のころにすごいよく観てた。


ティム テックス・エイバリーのアニメーションは素晴らしいね。僕は残念ながらロックスターにはなれなかったけど(笑)ロックはもちろん昔から大好きだよ。

 

 

浅井 好きなバンドは?

ティム ザ・キラーズというラスベガス出身のバンドのプロモーションビデオを撮ったばかりなんだけど(シングル【Bones】)彼らは最高だね!ティーンエイジャーのころは、とても鬱気味の少年だったんで(笑)ちょうどムーブメントが起こっていたパンクロックには凄く開放された。ラモーンズクラッシュのような、怒りをこめた音楽が、当時の鬱屈した自分をずいぶん救ってくれたんだよ。

 

浅井 パンクは俺も当然影響を受けたけど、途中でスージー&バンシーズとか、、

 

 

ティム YEAH!

浅井 ザ・キュアーとかね。ああいうニューウェーブっぽい方に行った

 

 

ティム 僕はスージー・スーの大ファンで、【バットマン リターンズ】で曲を提供してもらえることになって、彼女に会えた時は感激だったよ。ザ・キュアーにしろ、10代の不安定なころは、ああいう陰鬱でドラマチックな音楽に没入することに、ものすごく快感があった。

浅井 何歌ってるかわかんないけど、いいんだよね(爆笑)

ティム そうそう、歌詞が聞き取れなくて歌詞カードを見ようとすると、あんまり載ってなかったりするんだよ(笑)

浅井 音だけで没入できる。

ティム そういうこと。カラオケにはもっとも向かない音楽だね。

浅井 カラオケ好きなの?

ティム いやいや、僕は歌が下手だから(笑)

浅井 日本はカラオケだらけだよ。俺もカラオケはやんないけど。

ティム あなたはステージで歌ってるんだから、カラオケする必要ないじゃない!(笑)

浅井 【ナイトメア・ビフォア・クリスマス】、今回の3D版はまだ観ていないから楽しみ。これは斬新だと思った。グロテスクな表現も、アニメとして無理なく溶け込ませている。素晴らしいと思ったよ。ウチの娘もお気に入りだし(笑)

ティム この映画はもともと、セットを組んで、パペットを動かして、、という立体的なものを撮影して作ったストップモーション・アニメだから、3Dになってようやく、本来の質感がちゃんと表現できたと思っている。そのことで、キャラクターの感情もより深く伝わるようになったし、ディテールも豊かになった。とても満足しているんだ。

浅井 ナイトメアのキャラクターってみんないいよね。どれが好きっていうより、全体でひとつの世界観を形作っている。

ティム そう、僕にとって作品のキャラクターは、すべてが特別なもの。特に【ナイトメア、、】は、ずいぶん昔に自分で創造し始めたものだから、どのキャラクターも重要な役目を持っていて、それぞれに僕自身が投影されているんだ。

浅井 そういうキャラクターや物語を生み出す時って、どんな感じなんですか?俺の場合は、なんとなく”書きたいな”と思って、適当に描いていくと、自分でも予想してなかった所へ行けちゃったりするんだけど。

ティム わかるよ、その感覚。僕もラフスケッチの段階では、あまり理屈で考えたりしない。【ナイトメア、、】のジャック・スケリントンにしろ、全く感覚的に描いてみたものが、ベースになったキャラクターなんだ。知的レベルじゃなくて感覚レベルで生み出した方が、自分の中の感性を純粋に反映できる。

浅井 確かに、あまり考えすぎるとつまんなくなる。それよりも漠然とした中から出てきたものの方が、いいのかもね。

ティム 確実にそうだね。真のアートというものは、人間の内側から湧き出てくるものだから。

浅井 そうか、全く同じだ。良かった(笑)

POSTED COMMENT

  1. えかきにん より:

    文字起こし感謝しますm(_ _)m
    アーティストにとって必要なことが書かれていますね。
    ベンジーが敬語なのにはニヤニヤしましたが笑

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