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村上春樹 / 街とその不確かな壁 感想と簡素的あらすじ

村上春樹の新作を読みました。

村上春樹は普通に好きで、95%位の作品は読んでると思います。
ただしハルキスト(信者)ではございません(笑)

結論からいうとかなり面白かったです。
久しぶりに一日中布団に寝っ転がり、ひたすら本を読むという行為をしました。
昔はこれをよくやってましたね(ひきこもりか!)
当然これをさせてくれるというのは面白い本に決まってます。

近年の作品(IQ84~あたり)も面白いは面白いんですが「また村上春樹が村上春樹っぽい作品を書いてるなぁ」というある種冷めた感情が芽生えてました。
「あ~またどうせここで奥さんが病んで、あの女とセックスするんでしょ」みたいな(笑)
勿論今作も100%村上春樹的作品ですが、そういういつもの展開にはなりませんでした。
(近い所まではよく行きますが)
ただひたすら物語の中に入り込んで冒険を体験出来ました。

僕が村上春樹で一番好きなのは世界の終わりとハードボイルドワンダーランドなんですが、

その「世界の終わり」の世界が登場します。
前情報を全く知らなかったため、最初、「!?これ世界の終わりじゃね?」って感じでした。
どうやら元が街とその不確かな壁でそれを改作したのが「世界の終わりと~」みたいです。
今回は「街とその不確かな壁」を改作でなくちゃんと書き直したって形らしいですね。

で、本題のこの作品についてなんですが、いつものように冒険小説です。
村上春樹の小説は全部冒険小説だと思ってます。
まず主人公が何も知らない状態から出発し、色んな人に会い、情報を聞き、アイテムを手に入れて、仲間も増えて、謎を解いていく、、敵が存在する場合もあります。
ドラクエファイナルファンタジーとほとんど一緒です。
その謎を解いていく過程が面白いんですね。

 

~こっからネタばれあり~

 

主人公(名前が出てきません)の彼女(らしき人)は「今、ここにいる私は「本当の私」じゃない」的な事を言ってます。完全に中二病です。
まあ結構こういう人いるんじゃないですかね?
本当の私」はその彼女がつくりあけた「世界の終わり」の世界にいるんですね。
うん、全くもっていよいよ中二病全開ですね。

現実世界で彼女は失踪してしまいます。

主人公はその「世界の終わり」に入り込むんですが(イマジネーションで)、
その世界の街に入り込むためには「影」を捨てなければいけないんですね。
この「影」っていうのが「本当ではない自分」なんだと思います。
つまり、世界の終わりにいるのが「本体」=「本当の自分」
    現実世界にいるのが   「影」=「本当ではない自分」
ということです。
途中からどっちが本当の自分なんだかわからなくなったりもします。

主人公はその世界で彼女に会い図書館で「夢読み」という仕事をします。
これの「夢読み」というのは最後までどういうことを表してるのかよくわからなったですね。
どこかで解説を読まなければなりません。

にそそのかされて、この世界を脱出しようという話になるんですが、
土壇場で主人公が「やっぱやめる」と言い出します。
で、影だけがその世界から脱出しました。

そこから話が現実世界に戻ります。
つまり、ここからの主人公は「世界の終わりから脱出した影」なんですね。
本物の主人公はまだ世界の終わりの方にいます。

ここからの話が一番面白かったですね。
自分はファンタジーよりもリアルな世界の方が好きなんです。
といいつつも幽霊が出てきたりして、全くリアルでは無いんですが(笑)
村上春樹は現実とファンタジー(虚構)をごちゃまぜにするのが好きですね。
この人は「その2つの境目は無い」的なことをよく言ってるような気がします。
「全部地続きである」と。
これは僕も同感でして、「はいこっからリアル、こっからファンタジー」ってハッキリ線引き出来る基準ってないんですよね。
人間の想像力って怖いです。

で、現実世界で幽霊の図書館館長に面接してもらい図書館勤務します(笑)
幽霊って気づくのはかなり後になってからです。
その幽霊は年配の男性なんですが、スカート履いてます
わけわかんないですね。
イカれっぷりがナイスです。
その方はとても辛い過去があって奥さんと子供を亡くしてます。

そこでイエローサブマリンのパーカーを着た少年に出会います。

ビートルズファンとしてはこれは嬉しい所。
その少年は誕生日を聞いただけでそれが何曜日だったのかを当てられます。
サヴァン症候群みたいな感じです。
こっちの世界では本ばかり読んでほとんどしゃべりません。

主人公が幽霊のお墓で「世界の終わり」の話をしていると、
イエローサブマリンの少年が盗み聞きしてました。
そしてある日少年が「世界の終わり」の地図を描いて主人公の所に持ってきます。
その少年が実は真の「夢読み」だったんですね~
少年もまた、こっちの世界では「影」だったわけです。

そして突然失踪した少年は「世界の終わり」に行きます(イマジネーションで)
そこで主人公(本体?)と出会いフュージョンして真の「夢読み」になります(笑)
ドラゴンボールか!

結局現実世界で彼女は失踪したままでした。
彼女との楽しかった想い出で物語は終わります。
彼女は「世界の終わり」で図書館勤務を頑張っているのでしょう。

これで超簡素的あらすじを終了します。

久ぶりに村上春樹を読んでみたいって方いかがでしょうか?

さて今の自分は幸運にも、本体と影が一体化して生きられてるような気がします。
たまにあっちの世界に意識が飛んだりしますが。
これからも現実とイマジネーション狭間で生きていこうと思いました。

完!

 

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